2026.01.30
「感性を閉じないという選択」
クリエイティブの仕事は、年齢とともに完成度を高めていく一方で、静かに摩耗もしていきます。
慣れた表現、成功した型、通用した過去の引き出し。
それらは確かに私たちを支えてきましたが、同時に、感性の扉を少しずつ重くしてしまうこともあります。
詩人サムエル・ウルマンは、「青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方である」と語りました。
この言葉は、若さを賛美するものではなく、感性を閉じない姿勢そのものを示しているのだと思います。
ベテランと呼ばれる世代は、表現者として「正解が見えてしまう」年代です。
だからこそ、最初に思いついた案を一度疑ってみること。
若手のラフに対して、即座に結論を出さず、違和感を味わってみること。
その一拍の余白が、表現にもう一段の深さを与えてくれます。
ウルマンはまた、「夢なき時、人は老いる」とも記しています。
ここでいう夢とは、賞や評価のことではありません。
「まだ自分の表現はアップデートできる」
その感覚を持ち続けられるかどうか、ではないでしょうか。
教え、伝える側に回ることは、表現を終えることではありません。
言語化しづらい感覚を言葉にし、失敗談も含めて次の世代に残していく。
それ自体が、クリエイターとして、そして経営に関わる立場としての、次の創作行為だと思います。
青春とは、若さの代替ではなく、感性を柔らかく保ち続ける意志です。
定年という節目を前にしてなお、問いを持ち続けること。
弊社は設立25周年を迎え、創業メンバーの中から、はじめて定年を迎える仲間がいます。
長年にわたり現場を支え、困難な局面を共にくぐり抜けてきた同志として、心からの感謝を伝えたいと思います。
「もう一案、考えてみるか。」
その一言を、これからも。
変化を拒まず、創作に挑み続ける姿勢を、引き続き共に示していきたい。
それこそが、年齢を重ねたクリエイターにしか宿らない“青春”なのだと思います。
k.ono