2026.06.22
現場であらためて感じた、報連相の大切さ
先日、スタジオでクロマキー撮影がありました。
ムービーとスチールで二部屋のスタジオを借り、月曜日から土曜日までの6日間にわたるロケです。
月曜日から木曜日までは、忙しさはありながらも、撮影は比較的順調に進んでいました。ただ、金曜日になって少しずつ香盤に歪みが出はじめました。
その金曜日は、別の大型イベントの建て込みとリハーサルの日でもありました。
昨年約3,000人が来場した大きなイベントで、3つの会場の進行や演出まわりを担当していました。金曜日が建て込みとリハーサル、土曜日が本番という状況です。
もちろん、スタジオ撮影のクライアントやスタッフには、以前からその旨を伝えていました。
当日は朝から14時頃まで神田のスタジオで撮影に立ち会い、その後、高田馬場のイベント会場へ移動しました。スタジオからイベント会場までは、ドアトゥドアで約50分。移動後はリハーサルに参加し、MC役も兼ねながら現場対応を行いました。
ところが、そのイベントリハ中に、我々が担当している部分ではないところで大きなトラブルが発生しました。
担当外とはいえ、その影響はこちらの進行や演出にも大きく関わってきます。どう切り返せば、大きな問題をできる限り小さくできるか。どうすれば、クライアントへの影響を最小限にできるか。その場でできる打開策を考え、関係者と打ち合わせを重ねながら対応を進めました。
一方で、スタジオ撮影の状況も気になっていました。LINEで現場に状況を確認すると、「相当押していて、てっぺんを回りそうです」という返答がありました。正直、内心はかなり焦りました。
ただ、スタジオには制作スタッフ3名、ディレクター2名を配置していました。ムービー、スチール、照明、ヘアメイク、スタイリストの皆さんもいます。クライアント、出演者、制作、撮影、照明、ヘアメイク、スタイリストなど、総勢40人近くの関係者が動いている現場でした。決して人が少ない現場ではありません。
何とか現場で回してくれているはずだと思いながら、私は目の前のイベントリハで起きている問題への対応を続けました。
イベント側は主担当者様の段取りも良く、各スタッフも柔軟に対応してくださったこともあり、リハーサルは予定通り21時頃に終了しました。
そこから改めてスタジオへ戻りました。
スタジオに着くと、現場には明らかにピリピリした空気が流れていました。制作、撮影、照明、ヘアメイク、スタイリスト、クライアント、そして出演者。それぞれの立場で、皆さんが一生懸命に現場を回してくれていました。それは本当に間違いありません。
ただ、各方面のスタッフに状況を聞いていくと、全体の状況がうまくつかめていないことが分かりました。
「押している」
「うまく進んでいない」
「時間がない」
その焦りだけが先行していて、何が原因で、どこまで遅れていて、誰に何を確認し、自分の役割は何で、どう立て直すのか。そこが整理されていないように感じました。
出演者の方々、各担当の責任者、スタジオ側に対しても、「何時まで時間を使えるのか」という確認さえできていませんでした。
状況を聞いた時に、進行を担うべきスタッフから「それは私が聞きたいです」という言葉が返ってきました。その瞬間、現場がなぜここまで不安定になっているのかが分かりました。
もちろん、誰か一人が悪いという話ではありません。総勢40人近くが同時に動く現場です。人が多くなればなるほど、情報は分散します。それぞれが自分の持ち場で一生懸命に動いていても、全体の状況が見えていなければ、不安になります。不安が大きくなると、現場の空気は重たくなり、確認や相談もしづらくなります。
こういう時こそ、その人の考え方や動き方がよく見えます。焦りが表に出てしまう人。どうしていいか分からず、立ち止まってしまう人。一方で、どうしたら前に進められるかを考え、部下に声をかけ、各所に確認し、なんとか現場を回そうとしている人。同じ状況の中でも、人によって見えているもの、考えていること、動き方は大きく違います。
その中で、改めて感じたことがあります。
現場が大きく動いている時ほど、情報を集約し、全体に共有する「司令塔」の役割が本当に大切だということです。
それは、特定の誰かが偉そうに指示を出すという意味ではありません。今、どこまで進んでいるのか。この後、何を優先するのか。何時まで使えるのか。誰が何を確認するのか。次にどう動くのか。
それを整理して共有するだけで、現場にいる人たちは次の動きが取りやすくなります。逆に、それが共有されていないと、各スタッフがそれぞれの場所で不安を抱えたまま動くことになります。確認も相談もバラバラになり、余計に時間がかかります。
これは、現場だけの話ではありません。部署でも、会社でも同じです。
問題が起きた時に必要なのは、特別な能力や難しい理論ではないと思います。ものすごくシンプルで、誰もが知っている言葉。
「報連相」です。
報告する。連絡する。相談する。
これがきちんとできれば、ほとんどの問題や課題は、解決に向かいます。もちろん、報連相をしたからといって、すべてが一瞬で解決するわけではありません。でも、少なくとも状況は見えるようになります。状況が見えれば、判断ができます。判断ができれば、次の一手を打つことができます。
今回の撮影は、結果として1時間半押しで無事になんとか終了しました。
決して簡単な現場ではありませんでした。ただ、最後まで現場を止めず、それぞれのスタッフが踏ん張ってくれました。そして結果的に、クライアントからは感謝のお言葉もいただくことができました。
忙しい時。トラブルが起きた時。予定通りに進まない時。そういう時にこそ、その人の考え方や動き方が見えます。
焦るだけなのか。誰かのせいにするのか。黙って抱え込むのか。それとも、状況を整理し、周囲と連携し、少しでも良い方向へ進めようとするのか。
こういう場面で大切なのは、ネガティブな空気に引っ張られないことです。
もちろん、リスクを考えることは必要です。起こり得る問題を想定し、先回りして備えることは、現場を守るうえで欠かせません。
ただ、リスクを考えることと、ネガティブになることは違います。
「できない理由」を並べるだけでは、現場は前に進みません。大切なのは、起きている状況を正しく見たうえで、どうすれば成功に近づけられるかを考え、話し合い、動くことです。
現場に必要なのは、技術だけではありません。チームで動く力。状況を共有する力。相手に伝える力。そして、全体を見て判断する流れ。
どれだけ準備をしていても、現場では予想外のことが起こります。
だからこそ、最後に現場を支えるのは、人と人とのコミュニケーションです。
報連相は、ただのビジネスマナーではありません。
現場を守るための力であり、チームを前に進めるための基本です。
今回の経験を、単なる「大変だった現場」で終わらせるのではなく、次の現場、次のチームづくり、そして会社全体の動き方に活かしていきたいと思います。
Joe